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2014年度リンデマンスホーフでのワークショップとコンサートに参加された稲垣緑さんの日記。

☆3/2
朝7時に起きると日本にはない独特の香りがして、自分がいま本当にドイツにいるんだなぁと実感。
ドイツ語がまったく分からないことや初めて海外に来た不安から、シュピルホフさんのお宅に到着してからずっと心臓がドキドキしていたけれど、改めてバルさんとユッタさんに挨拶するとお2人の優しい雰囲気と温かい言葉に自然と安心して心がほぐれた。
近所の調律師さんのお宅にピアノをお借りしてデュオの合わせをした。とても古く美しいピアノで、音も響き方も日本のピアノとはまったく違う。
そのあとシューマンピアノカルテットの1楽章のみのリハーサル。どうしても自分の音ばかり聴いてしまって弦楽器とコミュニケーションできない。でも先生方の具体的なアドバイスのおかげで、次の合わせまでにやるべきことをイメージすることができた。

☆3/3
8:30からまた調律師さんのお宅で合わせをした。そのとき、昨日とはピアノを弾く感覚が変化していて驚いた。耳が開いたような感じがして、その日の午後のリハーサルはその感覚に少し戸惑っていた。弦楽器の音が段々と聴こえるようになってきたけれど、弦楽器の意思まで汲み取ることが出来ない。もっと弦楽器の方たちの音楽に溶け込むように弾きたいのに…

☆3/4
午前中は個人練習とお散歩をしに外に出た。どこかの教会の鐘が聴こえてきて、ヨーロッパの生の鐘の音を聴いたことが無かったので無性に感動した。その日のリハーサルはやっと弦楽器のみんなの仲間に入れた感じがして嬉しかった。ピアノカルテットの中で、ピアノは唯一まったく違う種類の楽器で、音質も楽器の鳴らし方も弦楽器とは全然違うから、ピアノの役割をきちんと理解して演奏しなくちゃいけないなあと改めて感じた。そのあとのデュオの発表会では、初めて自分たちの力だけで曲をつくっていったので、不安な気持ちを捨てきれなかったけれど、一生懸命演奏させてもらえてすごく嬉しかった。

☆3/5
4楽章の前半だけでリハーサルが終わってしまった。音楽の流れを乱さない様にタイミングよく入り、音楽を次に繋げていくのがすごく難しかった。でも先生方が根気よくレッスンして下さったので、時間はかかったけれどなんとかついて行った。
先生方が的確にハッキリ指摘してくださるので、自分もリハーサルの間ずっと集中して頭をフル回転させて演奏し続けることができる。本番前のゲネプロではもっともっと工夫して弾きたい。

☆3/6
ゲネプロは冷静さが足りなくてうまくいかなかった。先生の、ゲネプロで失敗しといた方が本番で上手くいくのよ!という言葉を信じて、残り少ない時間はピアノ譜を見ながら、頭の中ですべての楽器の音が鳴らしてイメージトレーニングに励んだ。リンマー先生だったらどう弾くだろう?とか様々な想像力を働かせて最後の悪あがきをしていた。
本番は今まで不安に満ち溢れていたのが嘘のように幸せな気持ちで演奏できた。今まで私たち学生のために尽力してくださった方々のことを思うと、ネガティブな感情はまったく沸き起こらなかった。聴いてくださるお客さんにどうか楽しんで頂けるように、自分も楽しもうと思っていた。ベッドに戻ってからも、素敵な本番だったなぁ、ありがたいなぁとしみじみ思った。

☆3/7
今日はピアノは弾かず、朝から晩まで存分に遊んでしまった。午前中はハノーファーオペラ座の見学をさせてもらい、午後はそのオペラ座でオペラを2つも観るという贅沢な1日だった。あんなに奥行きのある舞台を見たのは初めてで驚いた。その奥行きと何百人もの裏方の努力によって素晴らしいオペラが出来上がるんだなぁ。朝早くからオペラ座の案内をしてくださった男の方に感謝。

☆3/8
今日はホームステイさせてくださったおうちのお掃除をした。ドイツ語で感謝の言葉を伝えたくても語彙能力に欠けるので、お掃除で感謝を伝えようとした。本当にこのワークショップに参加させてもらえて幸せでした。関わった全ての人に感謝します。この8日間で学んだことを心に焼き付けて日本でも頑張ります。ありがとうございました!
2014年度の講習会要項はこちらからご覧ください。

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スイス、バーゼル生まれ。ヴァイオリンをオレグ教授(バーゼル音楽大学)、ヴァイトハース教授(ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン)に師事。ザルツブルクのモーツァルテウム主催のモーツァルト国際コンクール、ベルリン室内楽コンクール、バーゼルハンスフーバー奨学金コンクールなど各地のコンクールで入賞。
2006年、ドイツの室内オーケストラの中でも大変注目を浴びているカンマーアカデミーポツダムのコンサートマスターに、さらに2011年、ヨーロッパ各地に演奏旅行を行っているスイスの室内オーケストラ、カンマ―オーケストラバーゼルのコンサートマスターにも就任。ゲストリーダーとしては、日本でも有名なドイツ・カンマーフィルブレーメンやカメラータベルンなどに招かれ、主にドイツとスイス各地でいろいろなアンサンブルの指導者として活躍している。また様々なCD録音、例えばパユのフルートキング(Sony)、アッツォリーニのバッハ(Sony)、ニールスメンケマイヤーのテレマン(EMI)などのCD制作において、演奏解釈や演奏技術のアンサンブル指導者として録音に参画している。ソリストとしても、バーゼル交響楽団、アンサンブルオリオルベルリンなどと共演。南ドイツのボイゲンでの国際音楽講習会に教授として招かれ、また室内楽奏者としても、ドイツ、ラインガウフェスティバル、ウルトラシャル現代音楽祭ベルリン、カナダのドメーヌフォルジェット室内音楽祭、スイスのグスタード音楽祭、イギリスのチェルテンハム音楽祭やプラシャコーヴ室内音楽祭などに招聘されており、パユ、イッサリス、アッツォリーニ等と共演。レパートリーもバロック演奏から現代曲までと、幅広い演奏活動を行っている。
最近では、2013年11月のパーヴォ・ヤルヴィとドイツカンマ―フィルの日本公演にゲストとして参加(日本公演参加は3回目)、2014年秋の同楽団のブラームス公演日本演奏旅行にも参加を要請されている。また2016年にはジョヴァンニアントニーニの指揮でカンマーオーケストラバーゼルの初の日本演奏旅行が予定されている。
笠井友紀(かさいゆき)/ヴァイオリン_c0138836_17413738.jpg

# by d_kammersolisten | 2013-11-18 09:55 | 講師履歴
フランス・トゥールーズ生まれ。2013年よりベルリン・ハンスアイスラー音楽大学教授に就任したダミアン・ヴェントゥーラは、数々のCD録音、コンサートなど、ソロ、室内楽を問わず、ヨーロッパの内外で活躍中のチェリストである。
L.クラレット、B.グリーンハウス、L.レッサー各教授に学んだ後、ベルリンにてB.ペルガメンシコフ教授のもとで研鑽を積む。アンドレ・ナヴァラ国際コンクールで入賞するほか、2005年には、フランスで最も活躍したクラシック音楽のアーティストに贈られる「フランス音楽大賞・Victoires De La Musique」にノミネートされた。他にも、ピアティゴルスキー音楽協会、シンガー・ポリニャック協会、また、「ジェネレーション・スペディダム2010」より表彰されるなど、多数の受賞歴を持つ。
ソリストとしては、ベルリン交響楽団、マンハイム室内管弦楽団、トゥールーズ室内管弦楽団などと共演、また、室内楽奏者としてもロンドン・ヴィグモアホール、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス、ロッケンハウス音楽祭、プラド・パブロ・カザルス音楽祭、オランダ・ミュージックセッション、クアラルンプール室内楽フェスティヴァルなどに出演。B.ヘンドリックス、C.ツァハリアス、F.ヘルマーソンなど世界的演奏家との共演は、各紙において大きな反響を呼んだ。
ダミアン・ヴェントゥーラ/チェロ_c0138836_15331910.jpg

# by d_kammersolisten | 2013-11-18 09:10 | 講師履歴
2009年にドイツ音楽コンクールにて優勝したボリス・クスネゾフは、そのわずか2年後にニューヨーク・カーネギーホールにてデビュー。その演奏は、ニューヨークタイムズ紙面にて、「もっとも印象に残る解釈」として賞賛された。コンクール歴は他にも、ハンブルグとベルリン両都市に於けるスタインウェイコンクール、また、リヴィエラ・デル・コネロ国際音楽コンクールにて優勝、オスロ・グリーグ国際コンクール、キッシンガーの夏ピアノコンクールにて入賞、さらに、2011年にはベルリン・パウラ・サロモン・リンドベルグコンクールにて1位を受賞した、ドイツを代表するピアニストの1人である。
5才よりピアノをはじめ、ハノーファー音楽大学にてB.ゴツケに師事。室内楽をJ.P.シュルツェ、M.ベッカー各氏のもとで学ぶ。その類い稀なる才能に対して、Y.メニューイン音楽協会「Live Musik Now」 、ドイツ音楽協会、R.ボッシュ協会など多数の音楽基金より奨学金を得る。
 現在のコンサート活動は、アメリカ、アジア、南アフリカなど世界各地に及び、ヨーロッパ各地での音楽祭をはじめ、ドイツではベルリンフィルハーモニーホール、トーンハレ・デュッセルドルフ、ライツハレ・ハンブルグなどの主要コンサートホールでソロ、室内楽ともにその演奏を聴くことが出来る。2010年にはヴァイオリニスト、ビヨル・カンとのCDが発売され、今後ますますの活躍が期待されるピアニストである。
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# by d_kammersolisten | 2013-11-18 08:12 | 講師履歴